(天声人語)戦意高揚とメディア
(天声人語)戦意高揚とメディア
戦後80年とあって、この夏はさまざまな戦争関連の記事を目にした。
戦地での日本人のふるまいや被爆の体験など、どれも次世代に引き継がねばならない記憶だ。そのうえで、この業界に働く者として忘れてならないことがある。戦意高揚に果たしたメディアの役割だ。
1942年、朝日新聞が主催する「大東亜戦争美術展」が開かれた。
藤田嗣治や宮本三郎といったそうそうたる顔ぶれによる戦争画などが展示され、入場者380万人にものぼったという。
どんな絵だったのか。そのいくつかを、東京国立近代美術館で開催中の「記録を開く 記憶をつむぐ」展で見ることができる。
例えば鶴田吾郎の「神兵パレンバンに降下す」真っ青な空から、無数の落下傘兵が舞い降りてくる。地上には、銃などを構える3人の日本兵。
交戦の場面でありながら、絵はアニメの一コマのようで、光にあふれて美しい。当時の記事は「皇軍への無限の感謝と勝ち抜く必勝の決意」が会場に満ちている、と礼賛の言葉で飾られている。
戦時下という時流に乗ったイベントだったのだろう。新聞の統合が進むなかでの他社との競争もあったに違いない。その時、自分だったらなんと書いたか。
思い出すのは、ジャーナリストの故・むのたけじさんの言葉である。戦争報道で国民を欺いた、と終戦の日に朝日を辞めた。その経験から言っていた。「はじめにおわりがある。抵抗するなら最初に抵抗せよ」戦争への小さなほころびに、目をこらす。2025年8月20日 朝日新聞朝刊
サルスベリ(百日紅)ミソハギ科
庭で、サルスベリが満開です。酷暑も猛暑も何のそのすこぶる元気です。
夏の花木の代表、さるすべり。つるつるした樹皮と、クレープのように縮れた花房が特徴です。
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