戦争を詠む 朝日新聞朝刊朝日歌壇より(毎週日曜日掲載)
戦争を詠む 朝日新聞朝刊朝日歌壇より(毎週日曜日掲載)
朝日歌壇(毎週日曜日朝刊)の入選歌(選者は、佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さん、川野里子さん、)より、戦争を詠んだ歌を、わんちゃんが独断で選り抜きを。
☆⇒共選作
2026年3月 3/1 3/8 3/15 3/22 3/29
高野公彦選
戦前の始まりなのかもしれないと憂うひとつの党の圧勝(観音寺市)篠原 俊則
勝ちてより牙(きば)むくやこの為政者はしれっと武器売る算段もする(京都市)森谷広志
政治屋にいとも容易(たやす)く騙されていつも国民はやさしき弱者(近江八幡市)寺下 吉則
【評】1首目と2首目と3首目は、さる2月8日の衆院選で自民党が圧勝したことへの危機感・憂慮・落胆などを詠む。
戦争を起こさぬひとに入れたしと投票にゆく受験生の子(和泉市)星田 美紀
みっともない憲法と人は言うけれど日本にその後無かった戦争(高岡市)梶 正明
ひつじ雲をなかよし雲と呼んでた児 戦争はいやと投票に行く(堺市)丸野 幸子
太古にはアフリカにしかいなかったホモサピエンスの戦(いくさ)は止(や)まぬ(東京都)椿 泰文
【評】太古の地球はアフリカ大陸に少し人類がいただけで戦もなかったが、その後世界中に進出して戦争を止めない、と嘆く。
ヨコハマの浜は濱なり三水(さんずい)に兵と記すより賓に品(ひん)あり(三浦市)秦 孝浩
【評】反戦思想を秘めた面白い歌。
氷点下二十度の街の発電所狙いミサイル撃ち込むプーチン(観音寺市)篠原 俊則
【評】冷酷無比なプーチンの軍事作戦
☆他の石をはじき飛ばして中央に居座るカーリングのやうな大国(朝霞市)岩部 博道
トランプの無理難題をいさむるは米国民の良識か死か(京都市)五十嵐幸助
徴兵の対象となる若者が高市支持とは不思議なりけり(狭山市)朝日 和信
九条が世界すべての法ならばさぞこの星も住み易からむを(横浜市)白川 修
テレビより「第九」流れてくる夜に憲法第九を読み返しおり(橋本市)秋月 晶江
👆2首憲法九条の尊さを讃(たた)える心。
ホルムズは封鎖されたり黒煙の手前に白き鳥の群れ飛ぶ(長野市)関 龍夫
君が代と海ゆかばとの哀調を戦(いくさ)すまじと聞きいる八十路(四国中央市)石川 明憲
AIが自分の言葉話せたら戦争には使うなときっと言う(三重県)榎本 真弓
永田和宏選
普通の国になりたくなどなし戦(いくさ)せぬ特別な国であり続けたし(沼津市)山本 昌代
泣き叫び尽くした後に人びとは無表情になる瓦礫の中で(名古屋市)浅井 克宏
【評】戦争の悲惨さの中で泣き、叫び尽くした人々は、もはや無表情になる以外はないのかも。
そう言えば北京五輪の直後だったこんな理不尽いつまで続く(市川市)末長 正義
【評】二〇二二年二月にロシアのウクライナ侵攻が始まった。四年に一度の五輪、その間ずっと続く戦闘。
オリンピックのドローンの羽音戦場に聞かねばならぬ兵士の恐怖(観音寺市)篠原 俊則
【評】五輪でのドローンの活躍には目を瞠(みは)ったが、戦場では恐怖以外のものではない。
MADE IN JAPANの武器で人が死ぬ春はもうすぐほらすぐそこに(高岡市)池田 典恵
テヘランが燃えてゐる日の東京はマラソンの人銀ぶらの人(横浜市)白川 修
【評】戦火から遠い国にいる申し訳のなさ。
あれほどの少女(こ)らが一度に死んだとてガソリン値段しか気にならぬ国(五所川原市)戸沢大二郎
さっきまでそこは確かに教室だった破れちぎれた少女たちの絵(上越市)大堀 みき
川野里子選
人が死ぬ時は銀虫やたら舞う捕虜たりし悲痛父は話した(千曲市)関 津和子
戦場で兵を殺ししドローンが今日はミラノで選手等を追う(五所川原市)戸沢大二郎
【評】高速ドローン、今度はどこに現れるのか。
父の忌はグラビアで見し轟沈(ごうちん)図マニラ湾にて見しごと語る(東根市)庄司 天明
【評】記憶にない父の唯一の手掛かりが戦艦が沈められた瞬間の図なのだ。
「壮絶な怒り作戦」壮絶な怒りをもって画面を見つむ(観音寺市)篠原 俊則
政治家に届いただろうか「ママ戦争止めてくるわ」の本当の意味(橋本市)秋月 晶江
※SNSでトレンド入りすることになったきっかけは、
エッセイストの清繭子(きよし まゆこ)さんが2月5日にXに投稿した
「ママ、戦争止めてくるわ #期日前投票 」。
子どもに言った言葉をそのままポストしたのが始まりで、母親の視点から平和を願う期日前投票を表現したシンプルな一言が大反響を呼びました。
コメント