2025年6月29日日曜日

戦争を詠む 朝日新聞朝刊朝日歌壇より(毎週日曜日掲載)

朝日歌壇(毎週日曜日朝刊)の入選歌(選者は、川野里子さん、高野公彦さん、佐佐木幸綱さん、永田和宏さん)より、戦争を詠んだ歌を、わんちゃんが独断で選り抜きを。

☆⇒共選作

2025年6月 6/1  6/8  6/15  6/22  6/29

 

川野里子選

こんなにも骨の浮き出る身体して笑うごと見ゆガザのみどりご(観音寺市)篠原 俊則

【評】飢餓状態にあるガザ。それでも嬰児(えいじ)は笑おうとする。報道画像から独自なものを見取った。

☆小学生の真つ直ぐな瞳が見つめ居り「風通し」さるる原爆死没者名簿(鹿嶋市)大熊佳世子

空すべて鳥のトイレと思うとき空にも地にも自由なき戦地(河内長野市)平岡 章子

【評】鳥が自由に糞(ふん)をする空も地も戦地の人にとっては危険なのだ。

地下鉄の階段下から声がするあれは空爆から逃げた人々(石川県)瀧上 裕幸

【評】入ろうとする地下鉄に戦地の映像が重なってしまう。

戦死者の星印ある墓のめぐり除草剤撒くアメリカ製の(関市)武藤  修

 

佐佐木幸綱選

ミサイルが飛び交ふ空に月は浮くキーウの早朝ガザの真夜中(神戸市)益田 信行

 

高野公彦選

今もまだ戦後と言おう伊江島に二十人分の遺骨見つかる(本巣市)青木 鈴子

銃、兵士、戦車を描く片隅に青と黄の旗添える子供ら(中津市)瀬口 美子

ドローンの無数に飛び交う戦場を思いつつ見上ぐ遊覧のヘリ(魚沼市)磯部  剛

☆小学生の真つ直ぐな瞳が見つめ居り「風通し」さるる原爆死没者名簿(鹿嶋市)大熊佳世子

【評】原爆で亡くなった多数の命に思いを馳(は)せている真剣な児童らの眼差(まなざ)し。

「地球より命は重し」と言ひ継がれ千三百のガザの子ら死す(稲敷市)坂元 善典

 

永田和宏選

 一人の子に親の記憶を残せずに征ったひとりの父を悲しむ(岡山市)山本 昌子

【評】子である自分に一切の記憶を残さないままに、出征して亡くなった父。そんな父が、そして子がなんと多くいたことか。 

気づかれぬよう戦前ににじり寄るごとき学術会議法案(観音寺市)篠原 俊則

【評】学術会議法人化法案は、知らぬ間に戦前への回帰の危険性があると警告。

配給を終えたる鍋底拭いし手を舐め終えカメラを見詰めるガザの子(八王子市)額田 浩文

少し前「行って来ます」は禁句なり「行きます」と言えの世があったのだ(湖南市)鈴木  強

古古古米もしもありなば誰も彼も貪(むさぼ)りにけむ昭和二十年(東京都)上田 国博

【評】古古古米さえ食べられなかった戦後を思い出す

 

【番外編】しんぶん赤旗日曜版

下村すみよ選

電灯を黒布で覆う夕食の灯火管制よもやと過(よぎ)る  (長野県)吉藤 良枝

【評】ふと胸をかすめる戦時再来の不安 


半夏生

七十二候1つ「半夏生」(はんげしょうず)から作られた暦日で、かつては夏至から数えて11日目としていたが、現在では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日となっている。毎年7月2頃にあたる。

この頃に降る雨を「半夏雨」(はんげあめ)と言い、大雨になることが多い。地域によっては「半夏水」(はんげみず)とも言う。

なお、ハンゲショウ(カタシログサ)はちょうどこの時期に白い葉をつけることから名がついたとも言われる。

散歩中に民家の庭で咲くハンゲショウ見っけ、撮影許可をいただいた。

                




ハンゲショウ(半夏生)ドクダミ科

茎状部の葉が半分白くなる。そこから半化粧と呼ばれるとの解釈も。味わい深いが、漢名の半夏生に由来し、夏至から十一日目、暦の半夏生のころに白くなるのが語源。ドクダミ科の多年草で、背は1メートルになる。半分白い葉は、花びらのように見えるドクダミの白い苞葉(ほうよう)の祖型。盛夏には緑変する。

(天声人語)半夏生のタコとサバ

猛暑のなか、涼を求めて入った植物園の水辺でハンゲショウの群生を見つけた。青々と茂った葉は、花の穂に近い数枚だけが刷毛(はけ)で塗ったように白い。地味な花に代わって、花粉を媒介する昆虫を呼び寄せるためだと考えられている。花が終わると緑色に戻る▼ハンゲショウの名前の由来は、葉が半分白くなるので「半化粧」からとも、暦の半夏生(はんげしょう)のころに咲くからとも言われる。炎天下でも輝く白い葉に、自然の強さを感じた。人間だと汗だくになって、化粧も日焼け止めも落ちてしまう▼きょうは、夏至から11日目の半夏生。ハンゲショウとは無関係で、「半夏(はんげ)」の漢名を持つ植物のカラスビシャクが生ずる時期に由来する。昔はこの日までに田植えを終えるものだったとか▼地方によっては、半夏生につきものの食べ物がある。関西の一部では、吸盤のように稲が根付くようにと願ってタコを食べる。タウリンなどの栄養が豊富で夏バテ防止にも有効な食材なのだろう▼福井県東部の「はげっしょさば(半夏生鯖)」は、林紀代美著『ローカルな伝統食の消費、認識、その変容』で知った。江戸期に藩主が奨励し、半夏生の日に炭火で丸焼きにしたサバを食べる習慣がいまも続くという。「街中で焼くにおいが好き」という地元の声がうらやましい▼〈木の揺れが魚に移れり半夏生〉大木あまり。草木や魚や、自然が生んだ大切な存在に思いをはせる。かつて農作業の節目だった半夏生に、今年の稲が無事に育ちますようにと祈る。朝日新聞 朝刊7月1日より


1 件のコメント:

  1. イランの核施設空爆は戦争への道となるのか!!(T-46)

    今日7月3日は参院選告示の日です。物価や減税などが争点となっているが、世界情勢はきな臭い国際情勢です。
    6月の朝日歌壇では、6月21日に発生した、米軍によるイラン核施設への空爆に世界は驚いたことと思いましたが、そのことには触れていません。
    なぜか戦争状態が拡大せず、当事者との停戦合意がなされたことは、日本や世界にとって喜ばしいことです。7月以降の朝日歌壇の反応を詠みたいものです。
    今回の朝日歌壇については「古古古米」、「学術会議法案」などが気になりました!!

    話は変わって「半夏生」のことですが、7月1日の天声人語の記事になるほど世間様の耳目を集めているらしい!!
    半夏生とは24節季を3等分にした「雑節」(節分や八十八夜など)で、夏至から11日となる7月1日、2日とされ、この日は農作業を休んだり、「タコ」や「鯖」、「うどん」、「小麦餅」などを食べる風習があるらしい。
    私は植物の「半夏生」(半化粧)が気になりました。同じ植物の「夕化粧」(アカバネ科)や舞妓さんや、町内会のご婦人の「厚化粧」(白壁ともいう)が気になりました!!

    返信削除

絵手紙 梨

 ある日のこと、梨が届きました。 わんちゃんにとって、まさしく”初物” 「初モンいただくと、長生きするんやで」と、子供の頃おばあちゃんが言うてました。 初鰹、新子、新茶、とか、筍、蛍烏賊、秋刀魚、まったけ等々「ほんでな、75日寿命が伸びるんやで」とも言うてた。 初物 初物は縁...