(天声人語)沖縄戦と今がつながる場所で

(天声人語)沖縄戦と今がつながる場所で 2026-6-23

今日は沖縄慰霊の日。「沖縄戦の図」で知られる沖縄県宜野湾市の佐喜真(さきま)美術館は、個人の入館料を無料にする。特別展示している関西出身の絵本作家・田島征彦(ゆきひこ)さん(86)の原画を広く紹介したいという佐喜真道夫館長によると沖縄戦を描いた絵本はあまりない。「激烈な事実に向き合ってくれた」。緑豊かな淡路島のアトリエに田島さんを訪ねると、制作の手を止めて迎えてくれた沖縄の文化や自然に魅入られ、約50年前から通ってきた。沖縄戦を調べれば調べるほど打ちのめされた。どうすれば沖縄以外の人に伝わるのか。一方で、沖縄のつらさを分かったつもりになっているだけでは。自問してきた80歳を超え、「最後の仕事」の意気込みで沖縄戦に向き合った。思い浮かべたのは幼い頃の自分。「体が弱くて、『のろまのブーちゃん』って呼ばれていた。米軍機の機銃掃射でも死ぬ思いをした。そんな僕が、もし沖縄で生まれていたら」。型絵染で色を重ねて、恐れやおびえを描いた最新作は、疎開船「対馬丸」の生存者の体験を描いた。本土への学童疎開中に米潜水艦に沈められて、1400人以上が犠牲になった政府は昨年、有事に備えるとして宮古・八重山の住民ら約12万人の避難計画を公表した。田島さんは歴史が繰り返すように感じる。「絵本だから、子どもたちの心に伝えられる」美術館の屋上からは、隣接する米軍普天間飛行場が一望できる。過去と今がつながる場所に、多くの修学旅行生が訪れる。朝日新聞朝刊一面 2026623日:沖縄慰霊の日

       

            沖縄戦にまきこまれた少年の物語:たじまゆきひこ

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