戦争を詠む 朝日新聞朝刊朝日歌壇より(毎週日曜日掲載)

2026年6月 6/7, 6/14, 6/21, 6/28, 

高野公彦選

比治山(ひじやま)の橋のたもとで被爆した十三の父九十三で逝く(京都市)堀田 利典

【評】十三歳のとき広島で被爆した父が九十三歳まで生きたことへの深い感慨。

おれたちの戦場送りに賛成か友と眺める国会中継(調布市)吉野  楓

【評】徴兵制度が生まれるのかと心配そうに見守る作者十八歳。

ありし日に憲法九条死守せむと声張り上げしおたかさん顕(た)つ(枚方市)鍵山奈美江

【評】九条の危うき今、土井たか子氏の先見の明を思う作者。

 戦争を引き起こすのはトランプとプーチン、ネタニヤフ、あと一人(名古屋市)小城 勝相

【評】あと一人は誰?というクイズのような歌。

 永田和宏選

母の日も父の日もなくガザの孤児その日を生きるバケツの粥に(東京都)三角 逸郎

杳(とお)き日は正義とみていた白人がインディアンを撃つモノクロテレビ(高山市)西 春彦

 川野里子選

収穫さなか軍機うるさし大砲を撃つ思いにてキャベツを放る(羽村市)川元 源一

スーパーの棚に並んだ銀色の袋一列兵器のやうに(栃木県)小田 秀人

 佐佐木幸綱選

一字でも九条変えればこの平和壊れる蟻の一穴となる(八王子市)額田 浩文

【評】憲法を変えようという声があちらこちらから聞こえてくる昨今である。

 

番外編:赤旗日曜版

選者:下村すみよ

人間が自由に生きる憲法ぞ国会とりまく若者の声(埼玉県)柴田 孝夫

【評】国民の自由を縛ろうとする動きが顕著な今、国会前を中心に声をあげはじめているとは何とも頼もしい。

通るたび頷いている朱の浮かぶNO WARとある塀のポスター(埼玉県)宇内 陽子

【評】共感しきり。通るのが楽しみな道。

トランプのイラン攻撃子の職を一気に奪いぬ資材のあらず(東京都)小野かほる

 稚気に似た米国キングの無法にも盾となりしか九条の力(東京都)河野 行博

【評】自衛隊をホルムズ海峡に派遣させなかったのはまさに9条の力。

改憲の反対デモに触れずして事件事故だけ報ずるメディア(愛知県)甲斐万里子

【評】メディアの報道姿勢を的確に批判。

「あんなにもいい人たちと戦など…」父は泣き出す晩酌の席(山形県)伊藤 咲

持つ国が持たない国に持つなと言うまずは己が棄てるべきなり(東京都)小野陽一郎

今年また実行委員頼まるる平和行進十八年目(宮崎県)黒木 直行

 選者:久々湊盈子

旧友の姿をさがす五・三の憲法集会数多(あまた)の幟(のぼり)に(東京都)中沢 隆吉

ノンポリの私も叫ぶ反戦を平和な国に住む権利ある(兵庫県)神戸まき子

 


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