戦争を詠む 朝日新聞朝刊朝日歌壇より(毎週日曜日掲載)
戦争を詠む 朝日新聞朝刊朝日歌壇より(毎週日曜日掲載)
朝日歌壇(毎週日曜日朝刊)の入選歌(選者は、佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さん、川野里子さん、)より、戦争を詠んだ歌を、わんちゃんが独断で選り抜きを。
☆⇒共選作
2026年8月 8/2, 8/9. 8/16.
8/23. 8/30
高野公彦選
「日の丸」をいかに思ふか叶ふなら戦死の伯父にたづねてみたし(枚方市)西山千鶴子
【評】日の丸のため戦死した伯父は今の国旗損壊処罰法をどう思うか
お仕着せと出自(しゅつじ)問われれど憲法は戦争のない日本を作りぬ(真岡市)池葉 智
明け切らぬ梅雨空のごと鬱々とイラン合意はまた覆(くつがえ)る(五所川原市)戸沢大二郎
授業中「天網恢恢(てんもうかいかい)」板書する戦(いくさ)続ける誰彼思って(朝霞市)青垣 進
※「天網恢恢疎にして漏らさず」とは、悪事を行った者は必ず天罰を受けるという意味のことわざです。
意味
この成句は、天が張り巡らせた網は広大で一見粗いように見えるが、悪事を見逃すことはないという教えを表しています。つまり、悪い行いをすれば必ず報いがあるという戒めの言葉です。「天網」は天の網、「恢恢」は広く大きいこと、「疎にして漏らさず」は粗く見えても漏らさないことを意味します
【評】老子の「天網恢恢疎(そ)にして漏らさず」を板書しつつ、プーチンやネタニヤフらの運命を思う。
特攻の悲劇を学んだ娘は悼み知覧茶買いてわれに持ち来る(長野市)関 龍夫
【評】特攻隊の基地があった鹿児島の知覧はお茶の名産地。
飲み会は二回に一度断るがガザ地区の子に寄付する友は(仙台市)沼沢 修
永田和宏選
国の名や人の名間違うトランプが核のボタンを持ちいる恐怖(観音寺市)篠原 俊則
祖父は耐へ祖母は号泣せしと聞く三十四歳戦死の叔父に(前橋市)荻原 葉月
【評】戦死に対するリアルな反応も、もはや間接的にしか聞けない危うさ。
☆地図帳に「比島」「仏印」「北支」なく碑の戦没地調べが続く(つくば市)石上徳千代
ミサイルの配備はあれど避難所にクーラーはなし熊本地震(北九州市)福吉真知子
佐佐木幸綱選
傷負ひし兵士のやうに薄暗き標本室に継ぎ接(は)ぎの土器(札幌市)伊藤 哲
【評】「傷負ひし兵士のやうに」という比喩に注目、展示された土器をうたって秀逸。
☆地図帳に「比島」「仏印」「北支」なく碑の戦没地調べが続く(つくば市)石上徳千代
選者:久々湊盈子
遺伝子を組み換えされし唐沗の兵士のような粒の隊列(東京都)小野かほる
【評】甘い言葉に洗脳された兵士のような黄色の粒。深読みすると恐ろしい。
唐沗(とうきび:とうもろこしの別名)
戦争をしないと宣言せし国が戦争売り込む国になりたり(北海道)成田 強
選者:下村すみよ
大空襲受けたるこの地に九条の碑建立(こんりゅう)せんとて若きら動く(福岡県)安東 光子
色紙もチラシもありぬ折鶴の千羽連(つら)なり被爆地へ飛ぶ(埼玉県)宇内 陽子
コメント